政治であり宗教 それが野球

現在の八百八郷はっぴゃくやきょうの覇権を争う手段である。四年に一度大きな大会があり、勝ち残ったチームは望みが一つ叶い、政権を得ることができる。
トップチームや選手は熱烈な支持者を持ち、応援が世界を動かす。宗教信仰文化を衰退させた要因でもある。

基本的なルールは現実の野球と同じ。ピッチャーが球を投げ、バッターがそれを打ち返し、ダイヤモンドを一周して本塁に帰ってきたら1点。9イニングでより多く得点したチームが勝ちである。ただし、100年ほど前に〈化式ばけしき野球〉に進化して競技性が大きく変化している。(後述)

化式野球(ばけしき-やきゅう)

化学ばけがく革命によって生まれた新たな野球。大きな違いは『バットとボールが特殊技術の詰め込まれたものになっている』点と、様々な化妖ばけようが参加できるようになった点だ。

道具について

バット

様々な武器型に変形するバットの図

握り、力を込めることで武器のような形状に変化する。それぞれに特性があり、大槌型はパワー特化・拳型がミート特化など、旧式よりも大きく特徴が現れるようになった。



ボール

マンガのコマ「野球の球だ!」

特殊形状のバットに反発するように作られている。刃物状のバットに当たっても切れずに跳ね返る。
投手の技術や力量によってオーラを纏ったり、軌道が不可思議に変化したりと様々な効力を発揮する。トップ大会でのストレートの平均球速は169.1キロ



共通の特徴

道具を手にした選手の精神力や、それを応援する人々の気持ちが直接パワーに加算されるという性質がある。これにより、身体能力の劣る者であっても当人の精神力やカリスマ次第で対等に渡り合えるようになった。



ルールについて

マンガのコマ「野球のルールブック!九九弐年度版!」

身体形状も能力も様々である化妖ばけようが参加できるよう、常にルールが整備され続けている。野球に参加する化妖ばけようの分だけルールが書き足され調整されていくため、ルールブックは年々分厚くなり続け、把握しきれないほどになっているらしい。

しかしルールの精度はかなり高く、傍目から見ると何故か分からないが公平に競技が成立している。ルールブックの存在自体が不思議な力を持っているのではないかと噂する者も。

マンガのコマ「洛歴九九八年度版ルールブックが、これだ」

メタ文:厳密に野球マンガをやるわけではないので、何かわからんけどハチャメチャなのに不思議と成立している、くらいのノリの設定でいいかなと筆者が判断している。


資格について

野球の公式戦に出場するために必要な資格。と言ってもそれほど難しいものではなく、一通り基礎を押さえていればパスできる。合格率はかなり高く、プロではないが資格は持っている、という者も多い。 どちらかというと野球に参加する化妖ばけようを調査・記録し、ルールを整備するためのシステムという面が大きい。

化学

化式野球の成り立ち

野球は戦の代替らしい

八百八郷はっぴゃくやきょう成立以来、900年近くこのサトは神と宗教で回っていた。人々は神を信じ、それを生活の基盤・中心としていたのだ。
争いも絶えなかった。ざっくり言えば神や教義の解釈によって派閥に分かれ、正しさを証明するため、まつりごとの実権を握るために命を賭した戦争を繰り返していた。

神を巡る争い合いに人々が疲弊し、辟易しつつあったタイミングで化学ばけがく革命が発生。センセーショナルに登場した野球という新世代の戦いに世界が熱狂。ざっくり言えば、尋常ではない野球ブームが巻き起こった。そして、化学ばけがく革命の第一人者と人々の総意によって野球は覇権争いの手段に成り代わったのだ。

バットが武器のような形状に変化するのは、過去の戦争の名残であると言われている。

全郷野球大会

八百八郷の覇権を決定する、世界最大の公式大会

野球のイメージ絵

優勝チームの選手と首脳陣は、望みを一つ叶えることができ、八百八郷はっぴゃくやきょうを四年間治めることになる。

開催は四年に一度、八百八郷はっぴゃくやきょうの各地域それぞれの予選を勝ち抜いたトップ8チームによるリーグ戦。半年間の長期に渡って争われる。

資格さえ持っていれば年齢・種族関係なく参加することができる。プロ・アマチュアなどの垣根は無いものの、勝ち上がるのは体系が確立している団体が九割九分以上を占めるため、そのようなトップチームが『プロ』と呼ばれている。
まれに『アマチュア』が台風の目となることも。

ルールブックはこの大会の開催年に合わせて四年に一度改訂・発行される。ルールブック発行年に予選大会が行われ、その翌年に本大会開催。



地区予選大会

本大会の前年に各地で開催。8つの地区でナンバーワンを決定する。チーム数が非常に多いため、1年がかりの大規模トーナメント戦。
チーム全員が野球資格を有し、メンバー登録をすれば参戦できる。

地区分図



三角旗競争(ペナントレエス)

予選を勝ち抜いた各地域の代表8チームによるリーグ戦。約半年に渡って開催。各地の野球場を巡回しながら試合をする。

補強選手制度

同じ地区の予選大会で敗れたチームから最大3名を補強できるシステム。
三角旗競争ペナントレエス出場チームが指名し、指名された側が承諾すれば一時的に仲間になる。※所属チームを移籍するわけではない。

補強選手交渉は地区予選大会終了後から始まり、早くて年内、遅くとも翌年2月頃までに確定する。



頂上覇権大会(クライマックスシリイズ)

三角旗競争ペナントレエスの上位5チームによる優勝決定トーナメント戦。上位のチームほど大きなアドバンテージが与えられる。

第一回戦は3本先取・第二回戦は4本先取・決勝戦は5本先取。この優勝決定戦の時期は八百八郷はっぴゃくやきょう全体がお祭り騒ぎとなる。

クライマックストーナメント図

化遣衆ばけんしゅうは10年ほど前の優勝チームが作った組織である。


その他の大会

全郷大会以外にも様々な大会が開催されている。全郷大会とその予選のない2年間は特に、次回大会を獲らんとする者たちが切磋琢磨する場となっている。(予選のシード権が得られる大会も) 他にもジュニア大会や学生大会、化妖ばけよう限定の大会など、レギュレーションが設定されているものも多数。

その他野球関連

スカウト

優秀な選手や金の卵を探し、八百八郷はっぴゃくやきょうを飛び回っている。

スカウトマンたち

サングラスを着けている者が多い。これは選手の身体能力や野球適正が数値化される化学ばけがくの発明品〈野球力測定眼鏡スカウター〉である。